札幌スピリチュアリスト・ブログ

スピリチュアリストとして日々感じたことや、考えたこと、書籍の紹介などを徒然なるままに記します。

悠久の歴史の中で“今“という時を生きる私達

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迫りくる脅威への対処

 徳川家康が残した名言に「人の一生は、重荷を負うて遠き道をゆくがごとし。急ぐべからず。」というものがあります。最近、果てしない人生行路を「シルバーバーチの霊訓」を始めとした高級霊からのメッセージを人生の指針として歩む中で、当初はその理想とすべきところがあまりにも今の自分の心の現状から見て、遠い至高なものと捉えていた時は重荷とさえ感じたこともありました。長年その指針を掲げながら歩んでいく中で、精神的な安定と絶対的な確信が芽生えて来る中で、少しづつ重荷ではなくまだまだ先は長いと感じますが、目指すべきゴールの輪郭がうっすらと見えて来たようにも感じます。
 新型コロナウィルスによる世界規模のパンデミック、さらに国境の封鎖やグローバルサプライチェーンの分断、緊急事態宣言による営業自粛の影響などでリーマンショックを上回る世界規模の景気後退が深刻な影を私達の生活にもたらしつつあります。こうした状況は今後暫く続くと思われ、出口が明確に見えない不安が世界を覆っています。こうした感染症の拡大に端を発した人々の生存を脅かす脅威というのは、これまでの人類史を振り返ると繰り返し襲って来たことがわかります。その都度私達の祖先はその脅威に打ちひしがれながらも、必死の努力を重ねて現在に至っています。

「地球に住めなくなる日」(The Uninhabitable Earth Life after Warming)の描く未来
 21世紀を生きる私達人類にとって、この感染症の脅威と比較して今日、明日ということではなくても確実にその姿を表しつつあるのが気候変動の脅威です。2020年3月に発刊されたアメリカのシンクタンク(新米国研究機構)ナショナルフェローのデビット・ウォレス・ウェルズ著の「地球に住めなくなる日」は思っているより深刻な気候変動の実態を描き出しています。地球温暖化がもたらすのは殺人的な熱波、大気汚染、経済破綻など気候崩壊と表現して、グローバルな気候崩壊の連鎖の危機を述べています。新人世(人類が地球の地質や生態系に重大な影響を与える発端を起点として提案された、想定上の地質時代)と表現されることもある今日、人類が地球環境に与えるインパクトは、過去のどの時代にも増して増大しています。その最も象徴的な問題が人々の社会経済活動のグローバル化に伴う二酸化炭素排出量の増大と温室効果による気候変動リスクです。著者はあとがきの中で、カルフォルニア州の山火事で灰になった面積は1970年代の5倍に達していると述べ、2050年までにロサンゼルス大都市圏は完全に灰になるかもしれないと忌まわしい未来を予測しています。
 この度の新型コロナウィルスへの世界の人々の反応は国や地域によって対応は異なります。ただ感染症によってもたらされる生活の変容、後戻りできない現実への対応という面では、世界中の全ての人々の生き方に影響を与えつつあります。そして世界は既に今の現状のまま変化しなければ持続可能ではないということを日々学ばされているともいえます。これまでの経済優先、利潤追求型のある意味で利己的な価値観から、他者を重んじる利他性を中心とした価値観、医療崩壊を防ぎ、他者の安心・安全を自らの問題として受け止めて行動を変容するという価値観が多くの人々に共有されつつあります。居住している地域、属している国、そして地球全体に意識を広げて自分は何ができるのか、企業や団体であればその集合体として何ができるのかを真剣に考えざるを得ない時代に入ったともいえます。それは、気候変動のリスクに対しても自分の問題として取り組むということにも通じます。
ポスト資本主義時代の人生観、価値観とは
 これまで私達が恩恵をこうむって来た資本主義社会の競争原理やグローバリズムは、世界の多くの人々に働く機会の提供や貧困からの脱出などプラス面も多くありました。更に先端的なテクノロジーは生活の質を飛躍的に向上させてくれました。その意味で資本主義システムは、うまく機能して来た面もありました。ただ、特に近年経済のグローバル化は、格差の増大や感染症の拡大や二酸化炭素の排出増による気候変動のリスクの増大、国益国益のぶつかりあいなど不都合な現実も露呈しつつあります。今回のコロナ禍は、こうしたグローバル資本主義のもともと抱えていた矛盾や課題を鮮明にした出来事ともいえます。様々な困難を抱えた今日、これまでの競争原理による利潤の追求という価値観からどのように転換していけば良いのでしょうか。
 それは私達が多くの隣人とともに地球に住み続けて行くためには、競争から共生へ利潤の追求による経済価値の増大という志向性から、他者との共存による社会福祉の増大という志向性への転換が求められているのではないでしょうか。生命が肉体の死によって途切れるのではなくその後も霊として永久に存続するという価値観、物質経済至上主義からスピリチュアリズムが提唱する価値観への転換こそが今人類に科せられた最大のテーマなのではないでしょうか。「地球に住めなくなる日」が来ないように日々微力ながら努めて参りたいと思います。