札幌スピリチュアリスト・ブログ

スピリチュアリストとして日々感じたことや、考えたこと、書籍の紹介などを徒然なるままに記します。

第二次世界恐慌(コロナ恐慌)の世界を生き抜く価値観とは

f:id:tatsuf18:20200428044932j:plain

 

パンデミックと世界経済恐慌の危機に直面する現代人

 ここ数回のブログでも述べさせていただいた通り、中国の武漢市から感染が始まり世界中にパンデミックを引き起こした新型コロナウィルスによる災害は、人類全体への脅威となって参りました。そして1929年にアメリカのウオール街から始まった世界大恐慌にも匹敵し得る被害を経済に与えてしまう懸念から、第二次世界恐慌という言葉を使い始める方々もおられます。疫病の蔓延という危機に留まらずに、これだけ世界経済に激震が走っているのは、今日の世界がグローバル化しており、感染の防止のためのロックダウン(都市封鎖)や国境封鎖、移動の制限が長期化した場合に、ほぼ全ての人々の生活に重大な危機が訪れるという状況が見えて来たからです。勿論1929年の頃とは科学技術や医学のレベルは全く違いますが、交通・通信・市場等のグローバル化によってむしろどこかの地域で生じた災害や感染症や金融の危機が世界中に波及してしまうリスクが当時よりも格段と増加しているとも言えます。現在のコロナウィルスが引き起こしたパンデミックと経済恐慌の危機を人類は果たして乗り越えることが出来るのでしょうか。そのためには、私達は、どのような人生観、価値観を身につけていかなくてはならないのでしょうか。今回は、その事について考えてみたいと思います。

 この問題を考察するに当たって、病気や感染症について、また経済問題については多くの専門家の皆様が様々な提言を行っているので、その中で正しい見方をしていると思ったものを指針として是非生きていく上でのヒントを得ていただきたいと思います。この度私はもう少し大局的な視点つまり人類の歴史の大きな流れと近未来の社会で求められる人生観、価値観という視点から私見を述べさせていただきます。少し長文となると思いますが、最後までお付き合い下さい。私はこのブログを書くに先立って昨年9月23日に書かせていただいた( https://silver18.hatenablog.jp/entry/2019/09/23/232452)『思考のすごい力』の著者であるブルース・リプトン氏が2014年に発刊された『思考のパワー』ー意識の力が細胞を変え、宇宙を変えるーという本を読ませていただきました。ブルース・リプトン氏はスタンフォード大学等で教鞭をとるアメリカの細胞生物学者で細胞膜に関する研究でエビジェネティクスという新しい分野の端緒を開き、科学とスピリットの架け橋となった新たな生物学の世界的権威でもあります。

精神世界と物質世界のバランスと人類歴史の変遷

 リプトン氏は、序章ー進化すべき時ーの中で「呼吸する空気も飲み水もすべては相関関係にある「エコシステム」の一部なのに「(自分のことだけを考える)エゴシステム」で暮らし続ければ、この不都合な事実(世界的な様々な危機)に対処できなくなるだけだ。」と述べて、今日の人類のもつ究極的にはエゴイズムと物質的なものと精神的なものとを分断して考える価値観では、世界が今陥っている危機には対処出来ないと述べているのです。つまり今日の世界の危機の本質は、世界の現実を一面的な誤った価値観でしか認識できず、物質的な狭い視野に偏った価値観で突き進んで来た結果、今の現実が起こっているのだと述べているのです。
 人類の非物質(精神的)な領域と物質的(物理的)な領域の歴史を振り返って見ると今の現代人が置かれている状況を理解することができます。人類文明の発祥と言われる原始文明(紀元前8000年頃)は石器時代新石器時代と言われ、アニミズム(汎神論)という古い宗教的習慣に基づく物質主義と精神主義のちょうど真ん中の領域でバランスがとれた文化の時代と言えます。リプトン氏は、このバランスの取れた状態が実は最も現実の世界を正しく反映していると述べています。その後、人間が自分自身とそれ以外のものの違いをはっきり認識し始め、物質的世界から分離された精神世界は、それ独自のエネルギーを持つようになりました。紀元前2000年頃、アニミズムという調和の取れた社会から暫くして、たくさんの神を精神世界に取り入れて多神教の時代が訪れます。その頂点を極めたのはギリシアの神や女神が人間的でありながら、人間を超える力を示したギリシア神話の世界です。この時代の代表的な哲学者として著者は2人の人物を紹介しています。一人は宇宙は空間に浮いている原子で出来ていると述べたデモクリトスで、もう一人は宇宙は物質の領域に対して非物質の領域があり、思考は非物質の領域で作られ、物質的世界は非物質な世界で作られた完璧なものに似せた影のような世界だとしたソクラテスでした。
 この多神教の時代から更に精神世界の領域に進み、精神世界が全面的に強調され、物質世界は天罰を受ける場所だとする一神教の時代が訪れます。ユダヤ教キリスト教イスラム教など今日世界中の多くの人々が信奉する世界宗教はこの時代に誕生し、今尚多くの人々の価値観に多大な影響を与えています。しかし、宗教にたくさんのルールができ、父なる神の名のもとに拷問や制圧までされるようになるとやがては教会自体に絶対的な知識が不足し、自滅の道を歩むことになります。1517年にマルティン・ルターが教会の堕落した実情を告白したのをきっかけにプロテスタントによる宗教改革へと繋がり、デカルト、ベーコン、ニュートンらが登場し、科学が物質的な宇宙を明らかにしていくと、人間の進化の道は精神世界からどんどん離れていくようになります。
 17世紀の後半から18世紀にかけて、人間の進化の方向は精神世界と物質世界のバランスの取れた中間点の文明に向かって折返しました。当時西洋では、一神教の宗教的な伝統よりも、理論と個人主義を重んじる啓蒙主義の時代が訪れます。著者はそのおおもとは、フランス人哲学者のジャン・ジャック・ルソーネイティブアメリカン汎神論の研究によるものだったといいます。こうした自然神信奉者の哲学にネイティブアメリカンからの要素を直接、それも詳細に取り入れたアメリカ独立宣言と憲法には、宇宙の精神的な真実と物質の原理が絶妙なバランスで織り込まれているといいます。しかし、そこからあっという間にバランスの取れた中間点を超え、世界中が物質世界の領域にどんどん移行していったのです。
 科学が支配する世界では、神は地球のはるか遠くにいるので、神がいてもいなくても世界は動きます。続いて起こった産業革命やテクノロジーの発明で神の存在は少しづつ姿を消していきました。そして19世紀半ばにイギリス人の自然主義チャールズ・ダーウィンが登場したことにより物質主義の文明の中で最大のパラダイムシフトが起きました。ダーウィンの「種の起源」によって人間は原始的な姿から何百万年の間生き残りをかけて、果てしない戦いを通して出来上がった様々な遺伝子の中からその戦いを勝ち抜いたものが自然淘汰されて出来上がったとされました。この進化の理論を科学的な真実として受け入れられると文明は教会から最高権力の地位を剥奪し、科学的物質主義を取りはじめ、物質主義者の考え方こそが公的な真実を語るものだとされました。人類は物質のメカニズムを理解すれば宇宙やその他生命の秘密を全て解明できると期待したのです。

物質から精神へ移行を始める現代文明

   この物質主義の文明が頭打ちになったのは、1953年生物学者のジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックがDNAの2重螺旋構造を発見し、生命の究極的な秘密を解明したと述べた時でした。両名は細胞の遺伝的な要素を解明し、生命の物質的側面を定義したのです。それから50年以上、神格化さえされてきたテクノロジーが、今度は想像できないほどマイナスの影響をもたらし、現代人はその副作用に苦しんでいます。科学による物質主義を最大限に利用しようとした最終段階が科学者たちと投資家たちによって進められたヒトゲノムプロジェクト(HGP)でした。このプロジェクトはネオ・ダーウィン説を唱える分子生物学者たちが理論づけた、人間を作るのに必要な15万個に及ぶ遺伝子を確定しようとしたものでした。しかし、2001年にヒト・ゲノムが完成してわかったのは、人間に必要なのは、たった2万3千の遺伝子で、残り12万5千の遺伝子の存在は、ネオ・ダーウィン説での基本的なプログラムの捉え方に明らかに欠陥があるというものでした。
 そして、物質である遺伝子が運命を決定しているという誤った考え方に取って代わって生まれた最新の科学「エピジェネティクス」では、ある器官を持つ生物と遺伝子の振る舞いは、その生物を取り巻く環境との相互作用に直接的な関係があるとしています。遺伝子による支配というよりも、生命は環境をコントロールして自らの生体をもコントロールして運命を変えていけるというのです。人の運命を決めるのは、遺伝子ではなくて意思の力であり、信念の力であるというのです。
 リプトン氏は、一神教も科学的物質主義も本質的に人間を自然から切り離してしまった点ではともに限界があったと述べます。そして今求められているのは、物資と精神のバランスの取れた地点であるといいます。物理学では量子論が示すように精神と物質、量子と波が共存する世界こそがその本質であると定義しましたが、その世界が今私達の眼前にその姿を表しつつあります。著者は、生命はエネルギーの波と物質の粒子が十分に存在していた真っ只中、「ゼロポイント」と呼ばれる状態から生まれたといいます。生命は光合成によって天から降り注ぐ光と地上の物質を融合することができるようになり、太陽光エネルギーが物質の中に蓄積されるようになって誕生していったといいます。今日、新たな人間社会が出現すべき時を迎えています。そして人類は、正しく進化するか、滅亡するかの瀬戸際に立たされているというのです。

今の時だからこそ私達が思いをめぐらすべきこと

 話を現実の世界に戻します。今日、私達は物質文明の真っ只中にあって、何か違和感を感じながら生きて来ました。確かに過去の人類と比べると、科学技術の恩恵の中で便利で効率的な社会を築き上げて参りました。しかし、視点を変えてみれば、毎年巨大化する台風を始めとした地球規模の気候変動、今世界を震撼させているコロナウィルスのような感染症の脅威、豊かさを求めて来たはずの経済を主体とした弱肉強食の競争原理に基づく市場原理主義が露呈しつつある様々な矛盾、誤った教義(唯物主義や宗教原理主義など)に基づき人が人を支配する世界など、全ては自然の摂理に反した人間の行為が引き起こした現実の姿であると今の私には思えるのです。私達の住む世界は精神と物質のどちらにも偏ることのないバランスの取れた愛と調和に基づく宇宙の永遠の真理によって運行されることによって、本来私達が求めてきた理想の世界に近づくことが出来ると感じます。新型コロナウィルスのもたらす疫病への恐怖、そして世界的な経済危機など今私達の目の前には一見すると絶望的な状況が広がっているように見えます。しかし、それは霊的真理という自然界を支配する神の摂理を人類が正しく理解し、産みの苦しみの中から、より本質的な姿に進化する過程で生じていることかもしれないのです。是非、苦難の中には真の喜びと永遠不変の真理に至るヒントが隠されていることを思って共に試練を乗り越えて参りましょう。

 最後に人生の指針としているシルバーバーチの言葉を皆様と共有致します。どうぞ今苦しみの中にあって明日への希望も持つことができずに身悶えしている魂に、高級霊からの真理の言葉が届きますことを願ってやみません。

『そこに、あなた方にも肝に銘じていただきたい教訓があります。真理のために闘うものは最後は必ず勝利を収めるということです。善の勢力をすべて封じ込めることは絶対できないからです。一時的に抑えることはできます。邪魔することもできます。進行を遅らせることもできます。しかし真理を永遠に破壊したり、あるべき位置に落ち着くことを阻止し続けることは誰にも出来ません。これは宗教に限ったことではありません。人生のあらゆる面に言えることです。何ごとにつけ誤った説に抵抗し、偽の言説を論破し、迷信に反対するものは決してうろたえてはいけません。全生命を支え、最後の勝利を約束してくれる永遠にして無限の霊力に全幅の信頼を置かなければなりません。』

シルバーバーチの霊訓 3巻3章より)

 

シルバーバーチの霊訓の原点に触れたいと感じた方は、下記のサイトをご覧下さい。このサイトには、スピリチュアリズム普及会の皆様が自費出版している世界三大霊訓(『シルバーバーチの霊訓』、アラン・カルデックの『霊の書』、モーゼスの『霊訓』)をはじめ、一流の霊界通信と入門書が無償で全文掲載されています。

スピリチュアリズム普及会第2公式サイト スピリチュアリズム・ブックスhttp://www5e.biglobe.ne.jp/~spbook/