札幌スピリチュアリスト・ブログ

スピリチュアリストとして日々感じたことや、考えたこと、書籍の紹介などを徒然なるままに記します。

「日中友好侵略史」からみた日本の危機とスピリチュアリズム

世界と日本を取り巻く環境の激変

 先回ブログを書いてから2ヶ月以上が経ちました。世界の目まぐるしい変化を通して、今という時代が歴史の大転換期に差し掛かっているのだと思わざるを得ません。 ロシアによるウクライナ侵攻とそれによって明らかになったのはグローバル化した世界経済の脆弱さです。一方で米欧(西洋)の価値観と相いれないイスラム諸国やロシア、中国などの地政学的な対立構造は、グローバル化された社会の様々な矛盾を浮き彫りにしています。現在ヨーロッパは、対ロシアへの経済制裁への反動として天然ガスの供給がストップして深刻なエネルギー危機に襲われ、また深刻な資源、食料不足によって世界経済は大きな危機に瀕しています。

 国内に目を転じてみれば、尖閣諸島南シナ海東シナ海など日本の周辺を取り巻く地政学的な危機が高まる中で政権与党を牽引してきた安倍元首相が参議院選挙の選挙日の直前にテロリストの凶弾に倒れるという信じがたい出来事が起きました。さらに逮捕された山上容疑者の犯行の動機が多額の献金を母親がしたことに対して宗教団体(旧統一教会)への逆恨みであったという報道が流れ、その後多くのマスコミは連日事件の真相に迫るというよりも、その問題に焦点を当てて、肝心の元首相の暗殺という出来事からの問題のすり替えが行われているようにも見えます。

 今回山上容疑者の行った安倍元首相へのテロ行為は、いかなる動機があったとしても決して正当化されるものではありません。ただ、山上容疑者にそのような行為を行わせた動機については、旧統一教会の誤った教義に基づく行き過ぎた献金や政界工作があったことも事実です。今回の出来事に関しては、スピリチュアリズム普及会が最新のインフォメーションで、霊的観点から詳しく解説されておりますので、是非一読下さい。

インフォメーション 45 

 

日中友好侵略史」からみた日本の危機

 今回の安倍元首相の暗殺事件に関しての報道については何か私自身はとても違和感を感じていました。そのような時にジャーナリストの門田隆将氏著の「日中友好侵略史」(9月5日初版発行)が発刊され早速読む機会がありました。

 この本を読むと古くは1959年頃から現在に至る中華人民共和国中国共産党)よる対日工作の全貌が詳細に時系列に従って明らかにされています。その工作は1959年当時、政権与党の国会議員であった西園寺公一氏、松村謙三氏など自民党の中枢部にあった議員にまで及んでいます。1972年9月に時の内閣総理大臣田中角栄氏が現職の総理大臣として初めて北京を訪問し、9月29日に当時の国務院総理の周恩来氏と日中共同声明の調印式で署名したことによって国交正常化が実現しました。それは同時にそれまで友好関係にあった台湾政府との断交も意味していました。その背景にどのような工作が行われていたのかを当時の関係者の証言をもとに明らかにしています。

 さらに公明党創価学会への工作についても詳しい当時の様子が書かれています。作家の有吉佐和子氏など様々な人物に対してどのような工作が行われたのか、当時の主要な人物やその関係者への綿密な取材によって全貌を明らかにしています。2022年、日本と中国は「国交正常化50周年」の年を迎えました。記念すべき50周年の年ですが両国間にお祝いの雰囲気はありません。

 本の「おわりに」の中で2021年10月21日に日本経済新聞社が民間非営利団体「言論NPO」などが行った世論調査によると90.9%の日本人が中国に「よくない」という印象を持っているという結果に達したことが書かれています。良くないと答えた理由の中で最も多かったのは、中国による「尖閣諸島周辺の日本領海・領空への侵犯」(58.7%)であり、多くの日本人が中国の対外膨張主義に対する脅威を強く感じていることがわかります。

 特に現在中国の習近平国家主席は「国家主席、副主席の任期は連続して二期を超えてはならない」規定を削除して任期を撤廃するなど独裁的な傾向が強く、軍事力の増強によって周辺諸国への圧力を強め、国内では香港の民主化運動への弾圧、新疆ウイグル自治区におけるウイグル人へのジェノサイドなど世界各国から人権問題について強い非難を受けています。

 こうした中国の動きに警戒感を抱いた安倍元首相は在任中に「自由で開かれたインド太平洋戦略」を提唱し、米国やオーストラリア、インドを始めとする周辺の国々を「自由、民主主義、基本的権利、法の支配、市場経済といった価値を基礎とする地域を目指すもの」として定義して、中国の軍事力を背景とした現状変更の試みに対して牽制していました。その後日本、米国、オーストラリア、インドの首脳や外相による安全保障や経済を協議する枠組みとしてQuad(クアッド)として実を結びました。

 今日の日本にとって安全保障上の最大の脅威は中国であり、そのための枠組みを提唱した安倍元首相が凶弾に倒れて後ろ盾を失ったことは国家としての大きな損失であることはこうした点からも明らかです。特に外交安全保障は継続性が求められるだけに今後の日本の安全保障に大きな影を落とす結果となりました。

日本が誇りある国家として輝いていくためには

 今日の経済を中心としたグローバル化は、安価で利便性の高い生活を実現した反面、様々な弊害を及ぼしています。グローバル化の行き過ぎは、移民問題や金融問題など様々なリスクを伴っており、EUに見られるように国家よりも上に 上位の意思決定機関があることにより、うまく経済が回っている時は表面化しなかった問題も、リーマンショックやコロナ危機のような大きな問題が起こるとそれまでは目立たなかった矛盾が表面化してきます。米国におけるトランプ現象や、イギリスのブレグジッド、フランスの大統領選挙におけるマリーヌ・ル・ペン候補の躍進など、これまでの経済のグローバル化による弊害に対して国家としてのアイデンテティを取り戻そうとする動きも活発化してきています。日本のおいても、この度の参議院選挙では、参政党が1議席を獲得し、反グローバリズムを標榜する政党が誕生しました。まだまだ小さな動きですが、今後大きな潮流になっていくことが期待されます。

 2020年の米国大統領選挙の際にも、民主党を支持する国際金融資本などの一部グローバリストとトランプを支持した愛国主義反グローバリズムの人々との激しい攻防が行われました。グローバリズムによって恩恵を受けるツイッターなどのビックテックも反トランプに周り、一部言論統制のようなものが行われ自由世界を代表するアメリカにおいても激しい攻防がなされました。結果としてはバイデン政権が誕生しましたが、今日の世界の分断や国家間の対立の激化の原因が2020年の大統領選挙の結果が影を落としているような気がしてなりません。

 日本の歴史を振り返ると古来多くの宗教や文化が流入しましたが、その宗教のエッセンスを取り入れて自らの文化として定着させてきたように思います。奈良時代の仏教の伝来や江戸時代の朱子学などの儒教の教えなど新渡戸稲造は武士道と表現しましたが、他国から流入した文化や価値観を山川草木の自然との調和の中で取り入れていったように思います。そうした民族性がスピリチュアリズムが根付く土壌を形作ってきたようにも思います。他者の良い点を取り入れ、創意工夫しながら自らの価値観を高めていくという民族性がスピリチュアリズムの考え方を受け入れる土壌を作ってきたようにも思えます。そして日本がこれから国として輝いていけるとしたらスピリチュアリズムに基づく真の利他の精神に基づいて経済大国としてでなく他者をいたわり、共に生きようとするスピリチュアリズム大国となっていくことこそがその近道ではないかと思います。

 スピリチュアリズムは、これまでの地上の宗教とは異なり、教祖も組織も、立派な建物も必要ありません。他界して霊界に行ってからすべての人々の常識となっている利他の心、他者への奉仕、神への感謝、これしか必要ありません。最後にシルバーチの言葉を引用して今回のブログを終えたいと思います。

「宗教とはサービスです。これはもう何度くり返したか分からないほど、何度も申し上げています。サービスに優る宗教はありません。サービスは霊の通貨です。分け隔てなく、すべての人に、愛と慈しみの心で臨むことができれば、あなたは最高の意味において“宗教的な”人間であると言えます。最高の神性を顕現しているからです。元来はそれが全宗教の基盤であらねばならないのです。
 ところが不幸にしてその基盤が厖大な神学と教条主義と人工の理屈の下に埋もれてしまいました。大霊とは何の関係もないものばかりです。そうしたガラクタをきれいに取り払ってごらんなさい。すべての宗教に共通した基本的な霊的理念が顔をのぞかせます。」 『古代霊シルバーバーチ 最後の啓示』(ハート出版)p.129~130