札幌スピリチュアリスト・ブログ

スピリチュアリストとして日々感じたことや、考えたこと、書籍の紹介などを徒然なるままに記します。

立ち止まって今という時代(とき)を考える

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人類史の中でも特別な今という時代

 2021年は、昨年の始めから全人類を襲った新型コロナウィルス感染症の脅威に人々が立ち向かい、そこで何か大切な価値観に目覚めるきっかけとなれたなら、ある意味では意義深い年となったといえると思います。私自身、この1年一人でいる時間が多くなり、普段はじっくり読むことのできない書物にふれる機会に数多く恵まれました。それらの書物の中には、自分の確信をより深めることに役立ったり、今抱えている課題の解決に向けて、ヒントを与えてくれるものなど、多くは今の自分が必要としている知識と自分の霊性の向上に役立つ知恵を与えてくれるものだったと思います。本の作者に感謝するとともに、そのような恵みに浴する機会を与えてくださった見えない導きにも心から感謝致します。

 私達は、今という時代が人類史の中で特別な時代に位置づけられることを様々な識者の見解を聞くまでもなく、身近に感じています。例えば、インターネットに代表される情報通信技術の発展によって、私達は自身が望めば人類がこれまで長い歴史をかけて蓄積してきた叡智とも言える高度な知識にも、また身近な情報にも瞬時にアクセスできる環境が与えられています。日々蓄積される情報がどんなに膨大なものであっても、それらを秩序を持って格納し、人は検索という行為によって、機械はコンピュータ言語によって必要な情報にアクセスし、またその情報の意味を理解し、現実にフィードバックして現実をより良くすることも可能になりつつあります。今日人工知能(AI)に多くの人々が関心を持ち期待するのも、膨大なデータを処理する能力が機械に備わり、機械学習や深層学習(ディープラーニング)によって、これまでの人間の思考では到達出来なかった解を見出すことができるのではないかという期待も込められていると言えましょう。

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「LIFE3.0」で示されたテグマークの警告

 ただ、宇宙物理学者であると同時にAIの未来に警鐘を鳴らしているマサチューセッツ工科大学教授のマックス・テグマークのような学者や知識人も多く存在します。2020年1月に発刊された『LIFE3.0』で、テグマークはライフ1.0を生物学的段階としてDNAによってハードウェアとソフトウェアが進化する段階、ライフ2.0は文化的段階として人類の登場によってハードウェアは進化するが、ソフトウェアの大部分はデザインされる段階、ライフ3・0は汎用人工知能の誕生による技術的段階としてハードウェアとソフトウェアがデザインされる段階と定義しています。そして将来誕生する可能性のある汎用人工知能(AGI)登場をどう捉えるべきかについて警鐘を鳴らし、AIの安全な研究を推進するための団体「生命の未来研究所(FLI)」を共同設立し、2017年に発表された「アロシマAI原則」の取りまとめにも貢献しました。デグマークはステーブン・ホーキングとも生前親交があり、AIの脅威を訴えるという点では、ホーキングと同様の考えを持っています。
 第2次世界大戦において、人類はウランやプルトニウムなどの元素の原子核が起こす核分裂反応を使用した原子爆弾を開発し、日本は広島と長崎で人類で初めてそのあまりにも悲惨な被害を受けました。それまで物理学の世界の研究であった核分裂反応が兵器として使われることを当時の人々は止めることが出来ませんでした。つまり物質の根源を理解し、それを現実世界に応用しようとした時に、エネルギーとして抽出し、人々の生活の向上の役立てようとする(原子力発電)という方向も模索されましたが、大量破壊兵器を生み出すという結果にもつながってしまったのです。その原子力発電という技術も、発電する際に「高レベル放射性物質」が生成されますが、最終処分地がまだ決定しておらず、さらに半減期が極めて長い放射性物質もあるため、長期間厳重に管理する必要があるという大きなデメリットがあり、長期的な視点では安定的なエネルギー源とは言えません。今日私達の生活に欠かすことの出来ない存在となったAIも、原子力の問題のように人類の未来にとって脅威とならないという保証はどこにもありません。

人間とは何かを明確に定義する

 そこで、2021年の今、私達が立ち止まって考えなくてはならないことは一体どのようなことなのでしょう。現代人は科学技術の恩恵をこれまでのどの時代の人々よりも多く受けています。確かに科学技術は、私達の暮らしを快適なものにするために多く貢献してきました。ただ一方で、これだけ高度な医療が発達しても、病気はなくならないどころか、この度の感染症の脅威だけでなく、人々は薬という対症療法では健康を維持することが本来の意味ではできないことに、気がつきつつあります。人間という存在を物質という側面からだけ見て、物質的な面だけでの検査や異常を発見することは出来ても、その病気の根本原因を解決することは出来ません。

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 最近、ホリスティック医学・健康学研究所から2021年10月に発行された『ホリスティック医学入門&ホリスティック健康学入門』を読む機会がありました。この中で健康について「健康とは、人間の構成要素(霊・心・身体)が健全なネットワークを形成し、身体全体が調和状態に置かれ、自然界と一体化した状態のこと」(184ページ)と定義されています。この本は人間とは何かというスピリチュアリズムによって人類に初めてもたらされた人間観に立脚した思想に基づいて書かれています。この問題は、医療や健康という問題にとどまらず、今日の科学技術を支える思想の中にも同じ矛盾を見出すことが出来ます。この問題は目に見える物質世界を支配する物理法則のみによって自然や人間の全てを理解しようとすることによって本来の世界を形成している目には見えないが存在する霊の世界や心の世界を支配する自然法則(摂理)からずれてしまい、その結果多くの悲劇を生み出している現代人の本質的な無知に行き着きます。物質的な面でいくら利便性が増したとしても、それを正しく宇宙を支配する自然の摂理に調和させて使用しなければ、結果としては摂理違反として大きな災難を起こす結果となってしまうのです。

今こそ、正しい人生観・価値観の確立を

 1848年からスピリチュアリズム運動という霊界主導で地上人類にもたらされた霊的真理は、これまで人類が到達出来なかった真の健康で幸福な人生を一人一人が手にする道を示してくれました。スピリチュアリズムの登場によって人類は真理に基づく医療や健康の実現、真理に基づく科学技術の活用の道を与えられつつあります。その意味で今という時は未来の人類から見た時に大きな転換点を迎えた時として記憶される時なのです。それは霊的真理という明確なビジョンが与えられ、それを正しく理解し、実践することによって霊的無知という暗闇の中から、霊的真理というどのような地上の宝にも到底及ばない永遠の価値ある宝を与えられ、その調和に満ちた真理の道へと歩むことが許される時代に生きているということです。苦しみに満ちたと思われた地上の人生が実は肉体の死後、永遠に続く霊的人生を価値あるものにするための試練の場であり、そこで正しい道を歩んだ者には、決して滅びることのない希望ある永遠の生命が待っているという宇宙を支配する摂理(真理)です。どうぞ、今苦しみの中にあって生きる希望を失いかけている方々にこそ、この生命のメッセージが届くことを願ってやみません。