札幌スピリチュアリスト・ブログ

スピリチュアリストとして日々感じたことや、考えたこと、書籍の紹介などを徒然なるままに記します。

「思考のすごい力」の読後感と現代医療や生物学の限界

 

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 休日を利用して米国の細胞生物学者のブルース・リプトン著「思考のすごい力」~心はいかにして細胞をコントロールするか~(原題は“The Biology of Belief”)を読みました。5月18日付けのブログでドーソン・チャーチ著の「思考が物質に変わる時」の読後感について触れましたが、このリプトン氏の「思考のすごい力」では信念は細胞を変え、人生を変えるとということを学術的な見解として述べているところが画期的です。

 私自身ここ数ヶ月、スピリチュアリズムの思想の中で、生物とは何か、人間とは何か、人間を取り巻く世界について(特に量子論も含めた広い意味での世界について)考え、思考を巡らせていました。そこで、出会った本が先日紹介した米国ホリスティック医療協会創設者のドーソン・チャーチ博士の「思考が物質に変わる時」と今回の世界的に著名なアメリカの細胞生物学者であるブルース・リプトン博士の「思考のすごい力」です。

 この書物の中で 衝撃的な箇所を引用します。第4章「量子物理学が生物学・医学を変える日は近い」の中で「実は米国人の死因の第1位は医原病(医療行為が原因となって生じた病気)である。副作用のために死に至ることもある」という箇所です。治療に用いた薬品の副作用の例としてリプトン氏は「女性の閉経に伴って起こる更年期障害に対して、合成エストロゲンの処方が当たり前に行われている。・・・この薬品は心臓や血管、神経系のエストロゲンレセプターにも影響を与え、これらの働きを撹乱する。そのため、合成ホルモン補充療法は重大な副作用を伴い、心血管症患や脳卒中などの神経系の機能不全を引き起こすことが明らかになった」と書いています。つまり現代医学が物理学では主流になりつつある量子論的な世界観を殆ど考慮せず、ニュートン力学の世界観に立脚し、細胞についてもその真のメカニズムを理解せずに、悪性の細胞を正常化しようとして投与した薬品がそれ以外の正常な細胞の機能にまで良くない影響を与えることを真に理解していないからだと述べています。また遺伝子は単なる細胞の設計図にすぎず、人間の意識や環境が細胞をコントロールしていることを突きとめていきます。

 後半のエピローグでは「地球はひとつの生命体である」(ガイヤという考え)や「わたしたちは宇宙/神の一部の現れ」というセクションがあり、「神とは宇宙を構成する環境全体のことなのだ」とも述べています。著名な生物学者の著者がなぜ、そのような価値観に至ったのかは是非この本を手に取って読んでいただきたいのですが、宗教とは無縁の量子論を打ち立てた物理学者やこの本の著者のリプトン氏のような生物学を深く探求した学者がわたしたちがこれまで目にみえるものだけを全てだと考えてきた物質至上主義が世界のほんの表面をなぞった考えに過ぎず、深い精神世界の真理、量子論が示すモノと思っているものの本質は結局エネルギーであることを正しく理解し、それを現実世界に当てはめない限り、現実問題の真の解決はないといことを示しているのです。

 これは単に量子論が明らかにしつつある世界がミクロの世界の問題というだけでなく、私たち人類が直面する医学や生物学の分野でも無視できないところまで来ていることを明確にしているのです。人類はニュートンの示した世界では常識だった考えから一段階飛躍して世界が「見ることができなくても実在する世界」と「物質を中心とする見える世界」から成り立っていることを事実として受け入れる段階に来ているのではないでしょうか。

 

 

 

 

正しい霊的知識を持って日々実践することの重要性

  

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 人は、自分の歩んでいる人生になるべくなら波風が立たずに、平穏無事で過ごしたいと願います。自分から不幸を願う人などいませんし、できることなら、昨日より今日、そして明日はもっと素晴らしい人生を歩める自分になりたい。そう誰もが願って日々の生活を送っています。勿論、充実した毎日を送っていると感じている方も多くおられると思います。ただ自分の人生を振り返ってみて、一度も不幸だと感じた瞬間はないと言える人は誰一人いないと思います。それは霊的真理と出会い、人生の真の意味するところを先駆けて知らされたスピリチュアリストも同じです。ただ問題なのは苦しみの質です。

 シルバーバーチは、「地上人類への最高の福音」の中で苦しみの中でも無用の苦しみがあることを指摘しています。自ら背負い込んでいる苦しみ、自ら好んで無知と愚かさの道を選んだために引き起こしている苦しみ、偏見が生み出している苦しみ、迷信にとらわれているために生じている無くもがなの苦しみを取り除きたいと述べています。こうした苦しみは、地上人生の最大の目的である霊性の向上に結びつかない苦しみであり、霊的真理を知ることによって解消できる苦しみなのです。シルバーバーは悟りは苦しみの中から生まれると語る一方で、霊的無知なるが故に生じる様々な苦しみから人類を救いたいとも述べているのです。

 これまで地上にもたらされた多くの宗教は、こうした無用な苦しみから人々を救いたいという動機で説かれてきた教えも多くあったと思います。ただ残念ながら地上人が地上の感性で理解できる死後の世界、霊界に対する理解の度合いは実際に他界して霊界で長い間生活してきた霊界人の感性や理解力と比較すると遥か遠く及ばないということが高級霊の通信から明らかになって来ました。教祖が地上人であった時代に受けたインスピレーションの中には、高級霊から受けたものもあったことでしょう。しかし、組織化していく過程でどうしても地上の価値観による人工的な教義に姿を変えて、素朴な真理が埋没してしまい、多くの人々は教義の背後にある霊的事実、霊的真理を知ることができなくなってしまったのです。

 スピリチュアリズム運動は、こうした状況に人類が陥ってしまったことに心を痛めたナザレのイエスを中心とした高級霊達が長い期間をかけた周到な準備のもとに、1848年のハイズビル事件を契機に地上界に始めて霊界通信という形式を通して霊界の事実を伝えて来た運動です。その真偽を判断するのは、私達の理性であるというのです。シルバーバーチは生前自分がどのような人間であったかを最後まで明らかにぜず、ただその発する言葉の内容から真理か否かを判断してほしいと告げました。今私達は、直接交霊会に出てその言葉に出会う機会はありません。残されたのは霊訓と言われる言葉や祈りの記録のみです。

 ただその内容に一度触れると、これまで誰からも聞いたことのない霊界、地上界の真実を理性においても、今の段階の分かっている範囲での知見においても納得できる形で説明されているのです。まだまだ奥が深く明かされていない事実も多々あると思いますが、それでもこれまで漠然としか理解できなかった人間に関する真実がシンプルでありながら実に深遠な叡智として表現されているのです。まずはこうしたブログなどの間接的な表現ではなく、スピリチュアリズム普及会が出版したり、既にWEB上で掲載しているシルバーバーチの言葉に一度触れてみて下さい。そして自らの理性が反発するものは排除して理性で納得できるものを探してみて下さい。そしてそこで述べられている内容に確信が持てたら、実践してみて下さい。きっとあなたの人生に明るい希望の光が見えてくるはずです。そこから先はあなた自身の問題です。是非、まずは霊訓に触れてみられることをお勧めします。

 

スピリチュアリズム・ブックス(スピリチュアリズム普及会のHPより)

http://www5e.biglobe.ne.jp/~spbook/index.htm

 

霊的無知と現代宗教の限界について

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霊的無知とは如何なることか

 地球が誕生してから46億年、そして生命が誕生してから38億年が経過しました。そして現生人類のヒト属で現存する唯一種であるホモ・サピエンス20万年前から10万年前にかけておもにアフリカで現生人類へ進化した後、6万年前にアフリカを離れて長い歳月を経て世界各地へ広がったという説が有力です。スピリチュアリズムは神(大霊)による創造論を取るので、類人猿が現生人類に進化したという説とは異なります。考古学的な視点で今日に残る化石を研究した結果多くの事がわかって来ましたが、脳が急激にその大きさが増大するような変化を偶然や突然変異による進化とする説は、今日多くの点で矛盾を呈しています。科学技術の進歩は化石や地層の研究だけでなくDNA解析も含めて数多くの真理を解明して地上に存在する生命や人間に対して多くの事実を明らかにしてきました。そして古代遺跡の発掘等を通してここ1万年くらいの歴史について多くのことがわかって来ました。人間の歴史については、記録が残っていない時代のことは推測するしかありませんがおおよその事はわかるようになって来ました。

 また今日物質の根源についても多くのことを知るに至りました。ニュートン力学アインシュタイン相対性理論量子論などマクロな単位からミクロの単位に至るまで我々の肉体が存在する3次元空間とそれを取り巻く世界の法則や4次元以上の高次元世界が存在することも徐々に解明されつつあります。人間の知覚の及ぶ範囲についてはかなりの事がわかって来たと言えましょう。但しそれは地上世界(3次元世界)という限られた世界のことであり、我々の知覚の及ばない見えない世界、高次元の世界については依然として殆ど何も分かっていないといっても過言ではありません。その意味で、言語を使用し地球上に存在する他の生命体とは全く異なる知性を持った私達ではありますが、死後の世界や高次元の世界に対する無知(霊的無知)という点では数万年の歴史において殆ど変わっていない状態だと言えます。

これまで地上に誕生した宗教の限界

 これまで地球上には数多くの宗教が誕生して来ました。おそらく人類の誕生と宗教の誕生はほぼ同時期と考えられます。これは個人的な想像ですが、シャーマニズムアニミズムのような原始宗教は人間の生活に最も大きな影響を与える自然災害や天候に対して何らかの意味で予知をしたと思われる巫女のような存在に対する尊敬や崇拝ということから端を発して、それが集権的な権力と結びついて宗教の原型が出来たのだと思います。スピリチュアリズムでは、肉体の誕生と同時に神(大霊)の分霊化によって人間は霊と肉の両身体を持った存在として生きることになるといいます。ただ、物質次元に誕生すると同時に霊界から再生したとしても、誕生する前の霊としての記憶はなくなり、霊的無知という状態となり、一部の霊媒体質の人は別として殆どの地上人は霊的感性も鈍い状態となってしまったと言います。

 そして今日世界宗教と言われる特に一神教と言われる宗教が誕生し始めたのがユダヤ教キリスト教イスラム教等が誕生するここ3000年くらいのことです。中でも多くの宗教に影響を与えた聖書(旧約聖書新約聖書)はバイブルとも言われ、多くの宗教や人間の生き方に多大な影響を及ぼして来ました。ただスピリチュアリズムが誕生した1848年以前は、そうした経典や教義は地上の人間によって書かれたり説かれたものであり、かのスェーデンボルグのような生前に霊界と地上世界を数多く往来してその見聞録を残した人物でさえ、霊界の事実のほんの一部を書物に残したに過ぎなかったということです。その意味でこれまで誕生した地上の宗教は霊界で数千年も過ごした高級霊という存在から見たらあらゆる宗教が霊的無知の状態であるということになります。

スピリチュアリズムの誕生と地上人類の覚醒

 1848年から始められたスピリチュアリズム運動は、こうした霊的無知によって地上生活の真の意味を知らず、利己主義と物質至上主義という誤った価値観を克服できず地上を地獄のような状況にしてしまっている人類の姿を見るに見かねてイエスを中心としたヒエラルキーを持ったシルバーバーチのような高級霊団が霊媒(モーリス・バーバネルやステイントン・モーゼス等)を通して直接霊的真理を地上にもたらし、地上人類の不幸を取り除き、霊性の向上進化を図ろうと綿密に計画されて今尚展開されている地上人類救済運動です。地上人類は、歴史上始めて自分という存在が如何なる存在であるかを明確に知る機会を与えられました。後はその内容を正しく学んで実践し、真に幸福な人生を歩んでいくことが求められています。一人でも多くの方が、その霊的真理に出会い新しい希望に満ちた人生を歩まれることを切に願っています。

科学技術の進歩の先にあるもの

 

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 21世紀に入って20年近くが経過しようとしています。20世紀後半から続くデジタル化の流れは、よりその繊細さを増しスマートフォンを始めとしたデバイスの高度化、情報量の飛躍的増大、更に現実世界に存在するもののサイバー空間へのトレイスと連携技術の進化によって私達は、これまで以上に世界を細部に亘って認識することができるようになって来ました。全産業のデジタル化の進展により、私達はいずれ背景にICT技術が使われていることなど意識せずに、生活することが可能になることでしょう。こうした科学技術の進展は、人の働き方にも多大な影響を与えつつあります。同じ時間に同じスペースで事務作業を行うという形も変化し、AIを含めた最先端の技術進歩は、これまでの労働のあり方自体を変えていくことが予想されています。

 シンギュラリティという言葉で代表される人間の頭脳を人工知能が凌駕するという未来に警告を与える学者もいますが、これはこうした科学技術を現在の人類の霊性のレベルでコントロールすることが難しいことへの警告とも取れます。

 更に高度なICT技術の進歩は、生物学や医学という生命を扱う分野にも大きな変化をもたらしつつあります。ナノテクノロジー分子生物学ゲノム解析などもこうした影響を受けた分野といえましょう。こうした先端科学技術の進歩自体は、多くが歓迎すべきものですが、その先にあるものへの明確な答えを示してくれるものではありません。こうした科学技術は、これまで叶えることが出来なかった夢を現実のものにするという意味では、意義深いものかもしれません。しかし、それは世界を物質的な次元だけで捉えていて、それだけではそれを用いる人間の霊性を必ずしも高めるものでない以上、自ずと限界があります。

 その最も端的な現れが、特に地球温暖化などの気候変動リスクの増大という形で現れつつある脅威であり、国家間、民族間の絶え間なく続く闘争や対立状況です。そして物質次元の経済を主体として成り立って来た資本主義は、その矛盾を露呈しつつあります。この地上に生を受けていきなり、この世界の現実に直面せざるを得なかった私達は、様々な試練に遭遇しながらも、与えられた人生を与えられた条件の中で生きて来ました。そこで、時には挫折や失敗を繰り返しながらも徐々に一人一人が幸福や自己実現を求めて来ました。しかし、決定的に欠けていた世界に対する正しい認識、人間の本質は霊であり、自らの中にある霊性に目覚め、それを発揮することが真の自己実現であり真の幸福に至る道であることを認識して生きている人は残念ながらまだほんの僅かです。

 これまでの歴史上において多くの賢人が現れ、偉大な足跡を地上に残してまいりました。そうした人類のこれまでの足跡に学び、それをこれからの生き方に教訓として反映させることは、正しい人生を送る上で大切なことでしょう。ただそうした人類の叡智と言えるものの中で、埋もれてしまった素朴な真理を今日の高度に発達した文明に住む私達の理性でも納得のいく形で地上にもたらされたシルバーバーチの霊訓を始めとした霊的真理の真の価値を知るならば、物足りなさを感じるのも事実です。

 多くの人々が霊的真理を理解して実践する世界、そうした時代が訪れるのはまだ先なのかもしれません。但し、その時代がいつか必ず訪れるようになるのだという強い確信を持って日々をこれからも歩んでいきたいと思います。

 

内的知性の啓発とインスピレーションの現実世界への投影

 

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 ここ暫く、このブログを書く作業から遠ざかっていました。これまで書かせて頂いた内容は、書籍を読んだ読後感や考察であったり自分の体験に基づいた価値観であったり、どちらかというと何か対象物があって、それに対して自らの私見を書くというスタイルであったと思います。今回は、特に何かそうした書物や体験でなく最近感じていることを徒然なるままに思いつくままに書いていこうと思います。前後の整合性が合っていなかったり、文章としておかしいと思われた方は最後まで読まなくても構いません。

 タイトルに「内的知性の啓発」と「インスピレーションの現実世界への投影」という2つを欲張って入れてみました。最初に内的知性の啓発について書きます。日々の慌ただしい生活の中で現代人の多くは、自分の内面と向き合ったり、内なる声に耳を傾ける機会がとても少ないように感じます。そうした反省もあってか、特に欧米ではマインドフルネスやヨガなどによって瞑想する時間を持つ傾向が増えているように思います。

 他者との相互理解や交流は勿論大切なヒトとしての成長・発展にも繋がるものですが、私達が常日頃、それほど価値のある他者との交流をしているかと問い直すと惰性に流れている面も多いのではないでしょうか。私自身一人になれる時間を1日最低3時間以上は極力持つようにしていますが、それでも少ないと感じることもあります。以前は家に帰るとテレビを見たり、娯楽のため映画をよく見ていましたが、そうした習慣は今はなくなり静かな音楽を聴きながら内なる声に耳を傾けたり、どうしても必要な場合には読書によって必要な情報を手にいれるということをしています。ただ本を読むときにも、読み流すのではなく大切だと思う箇所に線を引いたり、ノートに書き写したり、内容を反芻するために瞑想をしたりということもするようになりました。

 スピリチュアリズムを学んでいくと人間の本質、自分だと思っているものの本質は霊であるということになります。では自分の中の潜在意識の中に普段は沈んでいる霊的な要素、つまり自分の本質と自分の意識はどう向き合えば良いのでしょうか。最近とても新鮮な感覚なのですが、自分の内面の深いところにある“内的知性”別の言い方をすると“霊的存在としての自分”と対話するというより内なる声に耳を傾けるということがそれほど抵抗なく一人でいる時間に感じられるようになりました。自分の肉体だと思っているものは実は現実世界に対する内的知性の表現形態であり、内的知性がこのような動きをしたい、このように自分を表現したいと思うとそのように身体が呼応し、またその波動は周りの人にも何らかの影響(波紋)を与えるという感覚です。そうした感覚が強くなると特に一人でいる時間でなくても、まるで別次元の自分が自分を見ているような感覚にもなったりします。

 不思議なことに肉体や物質的な意識が強くなるときに感じる欲望も、睡眠は別として薄らいで行きます。睡眠はなぜ別かというとこの地上界で生きている時に自分が果たすべきミッションを遂行するために必要な肉体を休ませ、起きている間に溜まった現実世界の精神的な垢を落として翌日新らしい気持ちで出発するために必要だと感じるからです。日々の習慣が自分を創るのだとしたら、今の自分はスピリチュアリズムの価値観を習慣に落とし込むことによって、肉体も精神も今はとてもリフレッシュしているように感じています。とても幸福感に満たされている状態だとも言えます。ともかく日々無駄と感じる時間がとても少なくなってきたように思います。

 次に「インスピレーションの現実世界への投影」について考えてみます。インスピレーションとは霊的直感とでも言えるようなひらめきや思いつき、ふと浮かんでくるアイデアといっても良いでしょう。そうしたそのままにしていたら泡のように消え去ってしまうものだと思います。おそらくビジネスの世界や政治の世界、学術の世界で世の中に影響を与えるような成功を収めた人々はこうした霊的直感のようなインスピレーションを常日頃の正しい生活習慣や問題意識、また優れた実行力、忍耐力によって現実世界に創出し、思っていること(これを思考と表現する方もいます)を現実世界に投影することに成功した方々だと言えると思います。現在インターネットの急速な普及によって、素晴らしいアイデアや理想を現実世界に投影することが以前よりずっとできるチャンスが増えました。つまり本来霊的存在である人間がその霊性を発揮するチャンスが多くなったとも言えます。

 そのアイデアや思いが地球全体の持続的な発展を願う利他性を伴ったものならば、その思いに感応して多くの人々に波紋を与え、既に他界して肉体の限界を超えた存在とも深く結びつくことによって、現実世界にもそれが展開していくことは間違いないでしょう。正しい思いを持って生きている人々には現在はとても素晴らしい時代となりました。私自身、現実世界で展開している活動をそのような思いで継続して行きたいと心から思います。是非皆様も霊的真理を学び、実践することを通して真の自己実現を果たしていただければ幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

「生物と無生物のあいだ」の読後感とスピリチュアリズムの生命観(2)

 

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 先回のブログでは、「生物と無生物のあいだ」の読後感も含めた生命観について述べました。今回は、その後に読んだ「思考が物質に変わる時」(ドーソン・チャーチ著)で述べられている「科学が解明したフィールド共鳴の思考の力」についてレビューも含めてスピリチュアリズムの生命観について再考します。

 以前ナポレオン・ヒル博士の「思考は現実化する」やリチャード・ポー;ウィン・ウェンガー共著の「アインシュタイン・ファクター」を読んだ時にも物事の捉え方や思考方法に影響を受けたのですが、「思考が物質に変わる時」では、歴史的な事例も含めて思考の力が生み出すエネルギー・フィールドの共鳴がどのようなメカニズムで現実世界に影響を与えていくかが科学的な視点で書かれています。「思考は現実化する」は科学的な検証というよりも様々な成功した人々の人生研究に基づいて、その共通項を集めて各人がそれを取り入れていくことによって、願望を具体化していくプロセスを書いた実践書でした。「アインシュタイン・ファクター」では、「天才の兆候の一つとして、彼らは幼いときから日記や詩、友人や家族に宛てた手紙などで自分の考えや気持ちを雄弁に語る傾向があるということをあげています。さらに、これは新進の作家だけでなく、政治家や科学者など、あらゆるジャンルの”天才”に見られるものであることもわかったのです。」と書かれています。つまり天才とは、常に自分の心に生じたイメージやアイデアを温めて、それを現実世界で形にする優れた才能のある人を指すということが書かれているのです。

 私達は幼い頃から、アウトプットすることよりも、教育や学習ということを通じてその時代、時代の常識を身につけること、つまりその社会の常識と考えられているものをインプットするということには慣れていますが、自分の心の中(思考)を表に現すということに慣れていません。「思考が物質に変わる時」では第4章「エネルギーがDNA、細胞を創る」の中で、肉体の細胞は恐るべき速度で入れ替わりながら組織再生が進むようになっていると述べられ、1秒ごとに実に81万個以上に及ぶ細胞が入れ替わるという記述があります。著者のドーソン・チャーチは米国ホリステック医療協会創立者ですが、ポジティブな思考によって細胞が生き残れるエネルギー環境ができるなど細胞が再生する際に思考が分子という物質に影響を与えていると述べています。そして、私達が自分の意識を無限に高め、光輝くエネルギーを脳内に生み出すことができるようになれば、細胞はそのエネルギーを基に再生するとも述べています。

 シルバーバーチは―「霊(生命素)なくして肉体の存在はありません。肉体が存在できるのは、それ以前に霊(生命素)が存在するからです。霊(生命素)が引っ込めば肉体は崩壊し、分解し、そして死滅します」(『シルバーバーチの霊訓 霊的新時代の到来』(スピリチュアリズム普会)  p.194)と述べています。

 先回のブログで、今日の遺伝子という生命を司る最も根本的な存在について研究が進められていることは述べました。今回は、意識(思考)が生命体の細胞の再生に大きな影響を与えていることも紹介しました。人類は一歩、一歩生命の根源に近づいていることは間違いありません。ただ、それを現実社会に当てはめてみようとすると、これまでの結果の世界の分析だけでは、どうしても解明することの出来ない壁にぶつかることも事実です。

 現代科学では、まだ霊の存在証明は出来ません。ただ、地上の生命体、人間という存在についての理解が進んで行くほどに、物質化された見えている世界や存在の根源に目に見えない存在やその意志が働いていることは否定できない事実です。人類は今、霊性進化の過程においてようやくベールの彼方に隠されてきた存在が現実世界を形作っていること、そして自分の発する意識や思考が現実世界に大きな影響を与えることに気が付きつつあります。全ての人類が願われる意識レベルに到達するには、まだ多くの時間を要すると思います。ただ、その段階に一歩一歩近づいていることは間違いありません。そのことを信じて日々歩みを進めて行きたいと思います。 

 

「生物と無生物のあいだ」の読後感とスピリチュアリズムの生命観(1)

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 先日書店で青山学院大学教授で分子生物学者の福岡伸一氏著「生物と無生物のあいだ」を購入し拝読しました。以前から著者の本は書店で拝見する機会はあったのですが、今回始めて読ませていただきました。最近、ゲノム解析に関して専門家の話を伺う機会があり、また先日札幌シルバーバーチ読書会でスピリチュアリズムの思想Ⅱの2章神の摂理について(3)「神の摂理(法則)による生物の創造と支配」について学ぶ機会があり、これまで物理学的な視点では、霊的真理との整合性を考察する機会はあったのですが、生物学的な視点ではあまりなかったので、興味を持ちました。ヒトゲノムの解析は2003年4月14日には完成版が公開されました。そこにはヒトの全遺伝子の99%の配列が99.99%の正確さで含まれるとされています。詳細はヒトゲノムマップ(http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/genomemap/)を参照下さい。このゲノム解析の結果は、医学や農学など様々な分野で実用化が進んでいます。

 さて、福岡教授の著書でとても興味を覚えたのはジェームズ・ワトソン、フランシス・クリックによるDNAの2重らせん構造の解明に至るドラマチックな展開の部分と本書のタイトルにもなっている生物と無生物を隔てるものについての記述でした。

 著書の中ではワトソン、クリック以外にもX線解析によってDNAの解明に大きな貢献をしたロザリンド・フランクリン量子論の誕生に多大な影響を与えた物理学者のエルヴィン・シュレジンジャー、DNAの発見者であるオズワルド・エイブリー、更には生命の“動的平衡”の概念に近づいたルドルフ・シェーンハイマーなどが登場します。

 シュレジンジャーは、著書「生命とは何か」で“すべての物理現象に押し寄せるエントロピー増大の法則に抗して、秩序を維持しうることが生命の特質である”と指摘しています。福岡氏は“エントロピー増大の法則に抗う唯一の方法は、システムの耐久性と構造を強化することではなく、むしろその仕組み自体を流れの中におくことなのである。つまり、流れこそが生物の内部に必然的に発生するエントロピーを排出する機能を担っていることになるのだ”と述べています。そして“生命とは動的平衡にある流れである”と定義しています。生命を構成するタンパク質は作られる際から壊されます。その中で平衡状態を維持するために相補性という法則が働いていると述べています。

 つまり無生物と生物の決定的な違いを相補性というシステムで表現しているのです。では、その相補性はどこから来るのでしょうか?本書ではこのあと更に興味深い記述が述べられているのですが、前述のスピリチュアリズムの思想Ⅱの(3)「神の摂理(法則)による生物の創造と支配」の中で“生命界は、物理法則が適用されない全く別の世界と言えます。物理法則に反する生命体の誕生という事実は、物質界と生命界との間に大きな一線が引かれていることを意味しています。”と述べられています。人類は今生命とは何かというシュレジンジャーの問いに答えを出そうと遺伝子という生命を司る最も根本的な存在の解明に迫ろうとしています。ただ、ここで一度立ち止まらなければならないのは、20世紀の物理学の偉大な発見が、核兵器を生み出したように遺伝子の組み換えや操作が可能になった今だからこそ、そのことのもっと深い意味を物質的な次元の更に奥にある霊的視野で見つめるということが求められているということでもあります。次回、この点について更に考察を深めていきたいと思います。