札幌スピリチュアリスト・ブログ

スピリチュアリストとして日々感じたことや、考えたこと、書籍の紹介などを徒然なるままに記します。

スピリチュアリズムの系譜について(2)

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 先回に引き続き、グレース・クック著のホワイト・イーグルの教え「アメリカ大陸の太陽人たち」の訳者である加藤明氏のあとがきの内容から、重要だと思われる点を一部抜粋し、後半で私見を述べさせていただきます。

ーーー以下一部抜粋

スピリチュアリズムの特徴

 スピリチュアリズムを他の精神主義的思想と区別する最も大きな点は、人間の霊性を承認し、霊魂の死後存続を確信するだけにとらわれず、霊界の存在との交流の可能性を実証してみせたということです。霊媒を通して愛する死者と時空を越えて再会しているという実感は、単なる教説以上に強烈な印象を与えました。また霊媒を通して高級霊が述べたとされる霊信の宇宙や生命に関する秩序立った合理的な説明によっても、多くの人が人生上の疑念を晴らし、慰めを得ることができました。

 アラン・カルディック(1804~69)がまとめた霊界通信『霊の書』『霊媒の書』、ウィリアム・ステイントン・モーゼス(1839~92)がインペレーター霊団からの通信として発表した『霊訓』『続・霊訓』、モーリス・バーバネル(1902~81)がシルバーバーチ霊団から受けたとされる多くの霊示集『シルバーバーチの霊訓』はロングセラーを続けております。

スピリチュアリズムの誕生の歴史的意義

 19世紀から20世紀前半にかけて、世界各地で政変と戦乱が相次ぎました。スピリチュアリズム誕生の年、1848年以降の主な政変としては、フランスが2月革命(1848)などを経て共和国となったこと(1870)、ドイツはプロシアの3月革命(1848)などを経てドイツ帝国(1871)、ワイマール共和国(1919)、ヒトラーの独裁国(1934~45)などと変遷したこと、イタリアが革命運動(1848)を経てイタリア王国として統一されたこと(1861)、日本が王政復古して明治維新(1868)を迎えたこと、そして何よりもロシア帝国血の日曜日事件(1905)、ロシア歴の2月革命(1917)などを経てソビエト社会主義共和国連邦(1922)という共和主義国家に変わったことがあげられます。

 唯物主義の行くつく先は、常に戦乱でありました。打ち続く戦乱でかつてない戦死者を出して1848年以降の百年間と期を同じくしてスピリチュアリズムが誕生し、発展したことも宇宙を経綸する神の愛のなせる業だったに違いありません。科学者オリバー・ロッジなども、降霊会に出席して戦死した息子のレイモンドから通信を受けたと確信したことから、心霊現象の本格的な研究に入って行きました。

ーーここまで

 この後の部分は、シャーロック・ホームズの著者としても有名なアーサー・コナン・ドイル(1859~1930)について彼の関心が推理作家としての名声そのものよりも、むしろその名声による心霊主義者としての貢献にあったことが述べられています。コナン・ドイルは1918年以降『新しき啓示』を始めとする心霊書を立ち続けに発表しました。最晩年にはクック女史とホワイト・イーグルにも関心を寄せ、会う約束までしていたこと、面会日の直前に帰天しましたが、死後1931年1月27日から翌年の6月1日までの間に、ホワイト・イーグルとクック女史を通じて、人間の由来、地上生活の意味、死後の事情、霊界の様相などについてメッセージを伝えて来て、1933年『神の国の到来』と題して出版されたことが書かれています。

 その通信が届くまでの詳しい経緯とその内容は『コナン・ドイル 人類へのスーパーメッセージ』に収められていますが、この書は実際に拝読して感銘を受けました。コナン・ドイル以外にも、『シートン動物記』の著者アーネスト・トンプソン・シートン(1860~1946)は、スピリチュアリズムの普及に間接的に貢献した作家で『私の知る野生動物』のまえがきで、「・・・動物たちも人間と同じようにものを考える力があり、愛情を持っている。そして、人間と動物とは兄弟なのである」と書いていて、生涯を通して人間と動物が兄弟であることを訴えているといいます。また科学の世界ではウイリアム・クルックス(1832~1919)やオリバー・ロッジ(1851~1940)など世界的に有名な科学者による研究や賛同によりスピリチュアリズムは急速に普及していきました。

 同時代にこれだけ多くの世界的に高名な作家や科学者、また高級霊霊媒を通して偉大な啓示を人類にもたらした時期は、空前絶後です。1848年~1980年頃(クック女史やモーリス・バーバネルが他界した頃)までの時期は、高級霊界から地上人類救済のために集中的に働きかけがあった時期であり、私たちはその与えられた恩恵を如何に深く受け止め、人生の正しい意義を見出して、自らの生き方に反映させていくことが出来るかが問われていると感じます。

 これまで、札幌シルバーバーチの会では、スピリチュアリズム普及会の皆様のご指導や協力の下、主にシルバーバーチの霊訓を題材として下記のスピリチュアリズムの思想Ⅰとスピリチュアリズムの思想Ⅱの神の摂理についての箇所まで学ぶ機会を得ました。

 

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 現在社会は、急速な科学技術の進歩・発展によって日常生活は大変便利になり、人のクオリティ・オブ・ライフはかつてなく向上しました。しかし、人間として最も重要な霊性の向上という視点にたてば、現在の人類は、まだまだ未成熟な段階にあることは、政治経済社会の様々な事象を通してわかります。

 ただ、既に霊的真理はスピリチュアリズムの運動によって地上にもたらされました。後は、一人一人が自らの理性と霊性に基づいて、正しくその真理を理解して実践を通して成長していけるかどうかだと感じています。私自身日々の生活の中で、常にそのことを意識して無限に続く霊性進化の道を一歩一歩着実に歩んでまいりたいと思います。

 

スピリチュアリズムの系譜について(1)

 

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スピリチュアリズム世界史年表より(グレース・クック女史)

 最近、ホワイト・イーグルの教え「アメリカ大陸の太陽人たち」(グレース・クック著)を拝読し、特に訳者の加藤明氏のあとがきを読んで、改めてスピリチュアリズムの誕生と歴史的意義を考える機会がありました。今回は、この加藤氏のあとがきを参考にして私見も含めて書かせていただきます。 

ーーーーーーーー以下本文より一部抜粋

 著者のグレース・クック女史(1892~1979)はイギリス生まれの心霊主義者で、自身の指導霊であったホワイト・イーグルのメッセンジャーとして霊的真理の普及のために重大な責務を果たされた方です。1936年には、ホワイト・イーグルの教えに共鳴した人々の協力の下にホワイト・イーグルの教えを実証するホワイト・イーグル・ロッジをロンドンに開設し、ハンプシャーのニューランズにセンターを創設され、その活動は今日まで続いています。

スピリチュアリズムの誕生と発展

 霊魂の死後存続を信じる心霊主義スピリチュアリズム)は、1848年3月31日のニューヨーク州ハイズビル事件に端を発し、その後またたく間に世界の一大潮流となってゆきました。ハイズビル事件以後、その当事者であったフォックス家の姉妹(ケイト、マーガレット、リー)を初めたとした職業霊媒が輩出し、心霊実験会が各地で開催されました。イギリスでは、心霊現象の調査・収集を目的とする心霊研究協会(1882)大小の心霊主義団体が結束した心霊主義者連盟(1890)が誕生します。日本では、1923年に心霊研究家の浅野和三郎氏(1874~1937)によって心霊科学研究会が設立され、本格的な心霊研究がなされるようになります。

 ここで注目すべきなのは、1848年という年です。興味深いことにハイズビル事件と同時期にカール・マルクスフリードリヒ・エンゲルスが協同して『共産党宣言』を発表していることです。マルクスヘーゲル弁証法フォイエルバッハ機械的唯物論を受けついで、唯物弁証法唯物史観を打ち立て、人間の成長も世界の発展も物質の運動に過ぎないと主張しました。この唯物史観の出現と同時にその対極に立つ霊的な人生観、歴史観を唱えるスピリチュアリズムが出現したことは偶然の出来事だったのでしょうか?

スピリチュアリズムと同時期の精神主義運動

 1800年代には、産業革命があり交通・通信手段が発展し、唯物的な傾向が現れたことは事実ですが、スピリチュアリズムと並んで、精神主義的傾向の思想を唱える人物も多数現れました。主な人物には超絶主義者と呼ばれたエマソン(1803~82)、クリスチャン・サイエンスを創始したエディ夫人(1821~1910)、トルストイ主義として一世を風靡したトルストイ(1828~1910)、神智学を説いたブラバッキー夫人(1931~91)は、その後ルドルフ・シュタイナー人智学の土台となりました。こうした一連の思想によって神の分霊としての個人の尊厳、物質に勝る精神の優位性、信念の力、因果の法則(カルマの法則)などが力説されました。「眠れる巨人」として今なお話題の絶えないエドガー・ケイシー(1877~1945)も、少し遅れてですが、この時期に生まれています。

 これらの思想によって古代からの伝統的なキリスト教と新進の唯物思想の2つとも揺さぶりを受けることになりました。

ーーーーーーここまで

 加藤氏のあとがきを読むと、訳者ということもあってスピリチュアリズムの流れ全体にかなり造詣が深い方であることがわかります。監訳の桑原啓善氏は、近藤千雄氏より前に日本にスピリチュアリズムを伝えた先駆者でありますが、加藤氏は桑原氏の強い影響を受けてスピリチュアリストになられたと書かれています。

 1848年がカール・マルクスの「共産党宣言」が出された年で、同じ年にはハイズビル事件を契機に霊的真理が地上に降ろされるきっかけとなった年というのは何か大きな意味があるとしか思えません。グレース・クック女史は、アーサー・コナン・ドイルが他界した後に地上にメッセージを伝えた時の霊媒でもあり、生涯に亘って「ホワイト・イーグル」の教えを地上にもたらした方です。シルバーバーチ霊媒のモーリス・バーバネルとは別の意味で重大な使命を持った霊媒だと思います。ホワイト・イーグルもシルバーバーチ同様、霊界の霊媒がインディアンであるという共通点があり、また他界したのも、モーリス・バーバネルが1981年であったのに対し、グレース・クック女史は1979年で、ほぼ同時代を生きています。

 

 

 

神の摂理に対する段階的理解について

 

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 札幌シルバーバーチの読書会では、次回から神についての学習を終えて、神の摂理について学んでいきます。スピリチュアリズムでは、これまでの宗教とは神についての認識において大きく異なっております。中でも特筆すべきことは「神は摂理(法則)を通して世界を支配している」という内容です。

◯詳細は下記をご覧下さい。

(7)スピリチュアリズムが明らかにした神観のポイント/1.神について

 私自身、最初にこの内容を読んだ時、これまでの宗教との根本的な違いから戸惑うこともありました。つまり、これまでの宗教の教義では、仏教のように神についての明確な言及を避けたり、キリスト教のような一神教では、祈りを聞き届けてくれる存在(キリスト教の場合は仲保者としてのキリストという存在はありあますが)としての神というイメージが定着していたからです。人々は自分が罪を犯したと感じた時、神の前に許しを請うという意味で祈りを捧げて来ました。また日常生活で不幸を退け幸福を得たいとしてある意味で他力本願の信仰をして来ました。そうした祈りによって救われることはないことがスピリチュアリズムの神観によって明確に定義づけられたわけです。

 神は摂理(物質界、生物界、人間界、霊的世界の全てに存在する法則)を通して世界を支配されているということ、そしてそのことこそが神の公正と深い愛を表しているということを理性だけでなく感性においても得心できた時、私達は霊界人の霊性レベルに少しでも近づくことができるのだと思います。そして神の摂理を深く理解して、摂理に沿った生き方を積極的にしていくことが、真の幸福に至る道であると高級霊による霊界通信では示されています。霊的真理を知り、それを理解し実践することによって霊性に目覚め、結果として霊的成長という人生における最高の宝を獲得することによって自力で幸福を求めていくことの重要性をシルバーバーチの霊訓を始めとした高級霊の通信は示しています。

 何を信じるかということも大切ですが、それ以上に重要なことは信じた内容を如何に日常生活の中で実践できるかであると霊界通信では示されています。絶えず学びを深め、また祈りや瞑想で感性で感じ、実践を通してその真理の正しさを日々実感していくこと、その積み重ねによって得られた確信は何者によっても奪われることはなく自分の霊の心(魂といっても良いのですが)の中に刻まれていくと思います。その意味で、苦しみという体験も含めて肉体を持った私達が地上において経験することはマイナスをゼロにしたりプラスにしていくことも含めて無駄なものは一つもありません。

 霊的真理に目覚めたスピリチュアリストは生きていく上で生じてくる様々な出来事や幸・不幸と思えることも神の摂理の中で生じていることと理解し、それを克服することができる最大の武器を手にいれることができたとも言えます。

 最近、霊的真理の学びと祈り、そして実践のサイクルを繰返す中で、これまでであれば迷ってしまったことや、人間関係、心の持ち方について思い悩むことが少なくなり、常に前を向いて歩むことができるようになってきました。今後はより多くの皆様に真の幸福に至る道をお伝えし、また高級霊の地上における道具としての自覚をもって日々精進していきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

「文明は〈見えない世界〉がつくる」から見える文明の変遷とスピリチュアリズム(3)

 

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 先回まで、松井孝典氏の著書「文明は〈見えない世界〉がつくる」の中から、現代人が到達しつつある世界観(相対性理論量子論等)について学んで来ました。そこでわかってきたことは、宇宙を支配している物理法則が少しでも違うものだったら現在の人間も地球も宇宙も存在しなかった可能性が高いという事実でした。

 現代科学は、これまで様々な宗教が主張してきた原因存在の「神」の存在を否定して、現実の事象を観察しそこから得られる知見を基礎にして発展してきました。理論モデルを立てて、それを実験や観察で実証することで確かだと思えることを追求してきたのです。ただ、そこで見えてきたものは追求すればするほど何も原因がないところから全て偶然に発生したり、存在することはあり得ないという結論でした。

 偶然でないとしたら「明確な目的をもった存在による知的働きかけ」が現在の宇宙や地球、そして人間と言う存在を成り立たせているということを示しています。ここでスピリチュアリズム普及会のHPの神についての部分に以下の説明があります。

(4)神認識に関するさまざまな見解と問題点/1.神について

(4)神認識に関するさまざまな見解と問題点より

「無形のエネルギーの大海から粒子が発生し、ミクロの次元を上昇するにともない一定の物体を形成していくプロセスには、「明確な目的性に基づく知的働きかけ」があるはずであるとの考えが生まれました。科学者の中には、不可分なエネルギーのパターン(大海)が宇宙全体でダイナミックな織物をなしている、との認識をする者が現れるようになりました。その織物を形成する方向性を決定しているのが、全知全能の「神」であることは言うまでもありません。」

 松井氏の著書は現在科学でわかっていることをわかりやすく整理し、現在我々が知的に理性的に理解できる世界の姿をできる範囲で忠実に表現してくれました。更にマクロからミクロに至る全てを説明できるかもしれない超弦(ひも)理論の登場は、上記の普及会のHPで書かれているように神(原因者)の存在を示唆するものと考えることができます。

 人類は、これまでの歴史を通して知性(理性)を通して目に見えるものの背後にある〈見えない法則〉を探求して来ました。そして今日我々を取り囲む世界が如何なる世界であるかをより深く理解するに至りました。量子論によれば観測者である人間の意志や観測するという行為自体が物質の究極的な単位である電子や素粒子の動きに影響を与えることまでわかってきました。そして我々が物質だと感じているものは実はその究極的な姿が実に不安定な存在(どこに存在しているかわからない)であることを突き止めました。

 ただ結論を言えば、理論的にいくら説明しようとしても、同じ現象を見ても人によって捉え方が違うように神の存在や霊的世界の存在を実証することは現在の人間には不可能です。ただこうした思考実験を通して、目に見えるものが全てであり、肉体を伴った人生が終われば全てが終わるという唯物的な価値観や、全てが偶然に発生して偶然に進化してきただけだという進化論や無神論の主張してきた考え方もその科学的な根拠を失いつつあるということです。最終的には何を信じるかということになるのですが、心の中の真実の声に従って生きるという生き方こそ、我々が目指すべき生き方なのではないでしょうか。

 

 

「文明は〈見えない世界〉がつくる」から見える文明の変遷とスピリチュアリズム(2)

 

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 前回松井孝典氏の著書「文明は〈見えない世界〉がつくる」の第3章の新たに出現した〈見えない世界〉の超弦理論の登場の部分まで紹介しました。理論の詳細を論じるのは、このブログの意図するところではないのでここでは避けますが、単純化して言えば現在発見されている100を超える素粒子の基本粒子は17種類なのですが、この理論によればそれは「ひも」の振動状態の違いとして見分けられているということです。「ひも」をヴァイオリンなどの楽器の弦だと考えれば、弦の振動が奏でる音色や音の高低の違いが基本粒子であるということになります。そしてこの超弦理論は、マクロな宇宙空間に当てはまる一般相対性理論とミクロな極微の世界の法則を表した量子論を一つの公式であらわすことができる大統一理論になるのではないかと言われています。

 ここまでは現代物理学の到達しつつあることの解説でした。ここから第4章「宇宙論における人間原理と文明」に至って松井氏の文明論が展開されます。我々のいる宇宙がどういった宇宙であるかが、マクロの世界においてもミクロの世界のおいても明らかになればなるほど、科学者たちはある疑問を持たざるを得なくなるといいます。「宇宙はなぜこのような宇宙なのか」という疑問に対してオーストラリア生まれの数学者・宇宙論学者のハーマン・ボンディはミクロなサイズの物理量、我々のサイズの世界の物理量、宇宙の性質に関わる物理量から基本となる物理量7つを選び出しました。ここで重要なことはそこで偶然現れてきた10の40乗という数字が電磁力と重力の比、宇宙の半径と古典的な意味での電子の半径の比、宇宙の質量と陽子の質量の比を表していることを突き止めたのです。(これを「奇妙な偶然の一致」=コインシデンスといいます)これはミクロの世界の特性が、宇宙全体というマクロな世界の特性を決めていることを示しているといいます。

 ミクロとマクロ、その両方の〈見えない世界〉を記述化していく中で得られた物理を支配する定数が、この宇宙の全体像を決めるものであるとしたら我々はそれをどう捉えればいいのか。1974年にブランドン・カーターは「宇宙は(それゆえ宇宙の性質を決めている物理定数は)ある時点で観測者を創造することを見込むような性質をもっていなければならない。」と述べています。ここでは〈見えない世界〉を見ようとする、人間という観測者を生むような宇宙であるという点に、この宇宙の存在理由があるのだとしています。

 そしてもう一点興味を持ったのが、アメリカの建築家であり、思想家のバックミンスター・フラーの文明論です。1963年に発表した「宇宙船地球号の操縦マニュアル」でフラーは持続可能な文明のあり方と、そこにおける人類の果たす役割について述べています。フラーは20世紀に入って人口爆発、資源の枯渇によって宇宙船のデザイン全体に影響を及ぼす問題が発生したことにより、宇宙船の自動運行あるいは、存続が危うくなってきたといいます。地球全体を扱う操縦マニュアルを確立するためには専門化した知性(学問)を総合的に統括し、全体を考えることが必要になってきたというのです。

 何故フラーは、超物質的な宇宙に重きを置くのか。それは、この〈見えない世界〉こそが、我々が直面している文明の問題を解く鍵を握っているからだとします。超物質的な宇宙の力で物質的な宇宙をコントロールすること、これが文明の危機を回避するために唯一の道であり、我々人類の責務なのだーとフラーは主張します。さて、話が文明論になってきたところで、長くなりましたので、次回第4章「宇宙論における人間原理と文明」の解説とスピリチュアリズムの示す世界観について述べたいと思います。

 

 

 

 

 

「文明は〈見えない世界〉がつくる」から見える文明の変遷とスピリチュアリズム(1)

 

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 ここ数回、日常生活の中で感じた霊性の進化への道のりや神の摂理の絶対性への確信と日々の生活について考察して来ました。今回は、少し話題を変えて、今年に入って読んだ書物の中で、様々なインスピレーションを受けた書物についての考察とスピリチュアリズムに照らしての私見を述べることに致します。

 今年の4月くらいに読んだ本で松井孝典氏の著書「文明は〈見えない世界〉がつくる」についてです。松井氏は現在千葉工業大学惑星探査研究センター所長で専攻は比較惑星学、アストロバイオロジー、文明論です。この本は2017年1月に岩波新書として発刊された本で一般の方にもわかり易く宇宙論や文明論を展開されています。

 私自身ずっと以前から物理学や宇宙論には興味を持っていたので、松井氏の著書は読ませていただいていました。書店でこの本が目に止まったのはタイトルの「文明は〈見えない世界〉がつくる」という興味を引くものであったためです。読み進むにつれて何度も共感する箇所があり、本は赤線だらけになってしまいました。

 「はじめに」の中で、アインシュタイン特殊相対性理論「運動している場合には、時間や空間が伸び縮みする」によってスマートフォンなどに内蔵されているGPSは正しく作動し、私達は位置情報サービスを受けることができているという部分があります。人工衛星と地上で流れる時間には違いがあり、それを補正するため使用されているのがアインシュタインの理論であるということです。

 「法則」とか「原理」とか呼ばれるものは言葉や数式といった形で我々の前に姿を表しますが、そうしなければ決して目にすることは出来ません。考えることでしかたどり着かない〈見えない世界〉はひっそり存在するそれらのものを求めて人類は1万年に亘り思考と思索を繰り返して来たといいます。人類の歴史とは、自然を〈見える世界〉とするならば、〈見える世界〉の奥にある〈見えない世界〉を追い求める旅だといいます。自然の原理とは何か、何がこの世界のルールを決めているのか、それらの謎を解くための旅が人類の歴史だとしています。

 スピリチュアリズム普及会のHPでスピリチュアリズムの思想Ⅱの「神について」ー(4)神認識に関するさまざまな見解と問題点の3)現代科学と神認識の中で「20世紀に入り、ニュートン物理学の大前提とされていた物質観(*物質とは一定の質量と容積を持つもの)に根本的な修正が加えられることになりました。」と書かれていますが、正に現代を代表する多くの科学者の価値観が、これまで当たり前とされてきた常識を覆し単純な唯物論的世界観や、進化論的世界観では説明できな事象が多く見出されるようになってきたのです。

(下記スピリチュアリズム普及会のHPを参照下さい)

(4)神認識に関するさまざまな見解と問題点/1.神について

 ここでは、あまり科学的な知見を詳述することは避けますが、アインシュタインが宇宙規模のマクロな世界における〈見えない世界〉つまり時空における運動の正体をリーマン幾何学を用いてモデル化することに成功したのが特殊相対性理論一般相対性理論の内容でした。これに対して、それまでの科学技術では決して捉えることのできなかった極微とも言うべきミクロの世界における〈見えない世界〉の法則を明らかにしつつあるのが量子論です。具体的なスケールで言えば、光で見える宇宙の果ては、10億✕10億✕10億mというスケールです。一方素粒子標準模型が描く世界は、10億✕10億分の1mのスケールです。実は更に極微の空間スケールも考えられていて、我々が経験で知ることが出来る世界の下の10の36乗分の1という空間スケールになると時間や空間が量子力学的に不確定になってしまい、物理学的には意味のない(幻想に過ぎない)ものになってしまうといいます。

 今日この一般相対性理論量子論を結びつける究極の大統一理論として注目されているのが超弦理論です。少し長くなりましたので、この超弦理論からは次回に譲ることに致します。

神の摂理の絶対性への確信と日々の生活について(2)

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 休日を利用して、シルバーバーチの霊訓「霊的新時代の到来」を読み返しています。読み進む中で、納得する部分、身近な体験と結びつけながら確信を深めていました。二章の「蒔いたタネが実りをもたらすのです。」の最初の部分で「不動の信念を持って人間としての正しい生活を送れば、きっとその恩恵に欲することができます。このことに例外はありません。・・それが宇宙の摂理なのです。その摂理に調和しさえすれば、必ずや良い結果が得られます。」とシルバーバーチが述べている部分があります。

 これまで、関わりのある方々で少しづつですが霊的真理をお伝えする機会がある方に、スピリチュアリズムについて、シルバーバーチの霊訓について語ってまいりました。その時には、すぐ理解できなくてもいつかわかっていただける時が来ることを信じてお伝えしてまいりました。その中のお一人で、定期的に自宅に用事で来られる方がいました。既に2年近く、自宅に来られる度に短い時間でしたが、伝え続けてまいりました。その方が、ある時に知り合いの方の中にシルバーバーチの霊訓に興味をお持ちの方がおられると伺いました。そしてその方を紹介していただくことが出来ました。

 直接お伝えした方は勿論ですが、数年して間接的に準備された方とお会いする機会を得て、今後も引き続き共に霊的真理を学んでいくということが可能になりました。この出来事を通じて、神の摂理を信じて、その摂理に調和していくことで結果が想像もしない形で訪れるのだと改めて確信致しました。

 人は何かに努力を傾け始めるとすぐに目に見える結果を求めがちです。スピリチュアリズムを信じて日々霊的真理を糧に生活している私達においても、その点は同じです。そして時には無力感を感じたり、確信を持ち続けることが出来なくなることもあります。この度のことを通じて、結果が出るまでに時間がかかっても、また求めた内容ではなくても、必ず良い結果が現れるということを実感致しました。

 シルバーバーチは別の箇所で「代価を払わずして価値あるものを手にいれることはできないということです。」と述べています。この代価というものは何かと考えた時、日常生活で接するあらゆる人との出会い、その時々に自分の接し方や話す内容、更にはその方との信頼関係を保つための努力、そうした一見見過ごしてしまいがちな小さな生活の一コマ一コマが実は良い結果をもたらすタネになっているというという実感です。そして、こうした日常生活の中に現れる摂理の絶対性への確信が、その摂理を創造された神(大霊)への絶対的な確信となっていくと感じます。

 今回は、自分の身近な体験を通して神の摂理への絶対的な確信とそのことがもたらした現実について報告させていただきました。是非、皆様も日常生活の中に“神の摂理”の素晴らしさを実感していただければ幸いです。